「英国海軍がいかに近代戦に適するよう改善されているかを、本日、一枚の紙の片側のみに記して報告されたし」1941年、チャーチル首相が海軍第一大臣に送ったメモ  -デイヴィッド・オグルヴィ「ある広告人の告白」より  -
プレゼンでの「広告企画書」は分厚い。市場調査→消費者ニーズ→商品分析→仮説→キーワード抽出→広告コンセプト→広告表現・・・ほんの一例です。よくあるケースとして、各パートは専門家がリレー式でつなぎます。各々が目一杯力を注ぐため全体が「てんこ盛り」状態となり、一番重要な広告コンセプトへの落とし込みが消化不良となりがちです。
 これとは真逆の戦略プランナーがいました。今は亡き伝説の人です。彼はマーケッターではありません。人の力を借りずに、独自のアプローチで広告コンセプトまでを一人で作ります。途中状況が心配で事務所を何度訪ねても、「鶴の恩返し」状態でドアを開けてくれません。そして、プレゼン直前に出来あがったものは、十数枚ほどの紙です。しかも、一枚の紙に一行だけの文言。これでプレゼンに勝てるのか?
 プレゼンの結果は圧勝でした。この後、プレゼンを受けた担当者がこの紙を用いて上司に報告したところ、全く説明が出来ません。「助けて欲しい」と悲痛な連絡が入ります。なぜなら、この企画書では行間を読めないのです。一枚の紙に一行なので「行間が無い」のです。このプランナーが一行の文言を説明すると「なるほど! これは骨太な戦略だ」と初めて理解できるのです。
 メッセージを伝える「もの」を媒体と呼びます。ポスター、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなども媒体です。実は「このプランナーそのものが媒体」だったのです。彼自身が力強い媒体も兼ねているので、企画となる文言について話すと大きな訴求力が生まれます。この人がプレゼンする時はみんな必死になって一字一句メモを取りました。もうこうなると技ではなく芸でした。このプランナーは弟子を取りません。残念ながら、この芸は継承されず一代で終わりました。ご冥福を祈ります。
6月 20, 2014 / 2 リアクション

「英国海軍がいかに近代戦に適するよう改善されているかを、本日、一枚の紙の片側のみに記して報告されたし」1941年、チャーチル首相が海軍第一大臣に送ったメモ  -デイヴィッド・オグルヴィ「ある広告人の告白」より  -

プレゼンでの「広告企画書」は分厚い。市場調査→消費者ニーズ→商品分析→仮説→キーワード抽出→広告コンセプト→広告表現・・・ほんの一例です。よくあるケースとして、各パートは専門家がリレー式でつなぎます。各々が目一杯力を注ぐため全体が「てんこ盛り」状態となり、一番重要な広告コンセプトへの落とし込みが消化不良となりがちです。

 これとは真逆の戦略プランナーがいました。今は亡き伝説の人です。彼はマーケッターではありません。人の力を借りずに、独自のアプローチで広告コンセプトまでを一人で作ります。途中状況が心配で事務所を何度訪ねても、「鶴の恩返し」状態でドアを開けてくれません。そして、プレゼン直前に出来あがったものは、十数枚ほどの紙です。しかも、一枚の紙に一行だけの文言。これでプレゼンに勝てるのか?

 プレゼンの結果は圧勝でした。この後、プレゼンを受けた担当者がこの紙を用いて上司に報告したところ、全く説明が出来ません。「助けて欲しい」と悲痛な連絡が入ります。なぜなら、この企画書では行間を読めないのです。枚の紙に行なので「行間が無い」のです。このプランナーが一行の文言を説明すると「なるほど! これは骨太な戦略だ」と初めて理解できるのです。

 メッセージを伝える「もの」を媒体と呼びます。ポスター、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなども媒体です。実は「このプランナーそのものが媒体」だったのです。彼自身が力強い媒体も兼ねているので、企画となる文言について話すと大きな訴求力が生まれます。この人がプレゼンする時はみんな必死になって一字一句メモを取りました。もうこうなると技ではなく芸でした。このプランナーは弟子を取りません。残念ながら、この芸は継承されず一代で終わりました。ご冥福を祈ります。

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